梅の下処理の過程で取り扱いが難しいとよく言われるのが、アク抜きです。
この工程は見た目では簡単に見えますが、実際に挑戦すると、考えていたよりも複雑であることがわかります。
梅のアク抜きに関する情報を調べると、さまざまなアプローチが存在することがわかります。
基本的な方法は似ているものの、細かな違いがあり、特に梅の熟度や種類、そして使用目的によっても方法は異なるのです。
深く調べれば調べるほど、理解が難しくなることがあります。
そこで、アク抜きの方法や浸水させる時間の異なるパターン、色が変化した際の対応策など、知っておくべき重要なポイントをお伝えします。
梅の実の前処理~アク抜きの基本
梅の実には、特有の苦味成分が含まれていて、これらの成分は、口に残るような苦味や、後味の悪い風味として知られています。
この風味を取り除くためには、梅の加工前の大切な工程として「アク抜き」が行われます。
梅のアクを取る方法は簡単で、梅を水に梅を浸すだけです。
- 梅を優しく洗う
- たくさんの水を使って梅を浸す。
このプロセスは簡単に見えますが、肝心なのは、梅を水にどれだけの時間浸すかです。
また、特に注目すべき点は、実際にはすべての梅にこの処理が必要とは限らないということです。
アク抜きが必要かどうかを見極める方法
アク抜きが必要かどうかは、梅の熟度や品種によって見極めることが重要です。
青梅には強烈なアクが含まれていますが、黄色く成熟するとアクの量は少なくなります。
従って、主に、アクを抜く必要があるのは、青梅の場合です。
これに対して、成熟した梅(黄色い梅)では、アク抜きは不要です。
また、青梅が成熟した梅に変わる過程で、アク抜きの時間を調整することが求められます。
梅の品種で、アクの程度が異なることもあります。
例えば、白加賀など硬質の梅はアク抜きがしばし必要ですが、南高梅のような品種ではアク抜きを不要とすることがあります。
しかし、南高梅においてもアク抜きを行うことを勧める生産者もいます。
これは、梅の使用目的や成熟度によって変わるからです。
アク抜きの必要性は、品種と熟度を考慮して判断することが大切です。
初心者は、熟度に注意しながら試みるのが良いでしょう。
経験を積むと、自分の好みに基づいてアク抜きの必要性を判断することができるようになります。
梅の水漬け時間の目安
梅の成熟具合を基にして最適な水に浸す時間を定めましょう。
では、水に浸す適切な時間は、梅の成熟度によってどう変わるのでしょうか?
この際、梅の種類や他の要因は考慮せず、主に成熟度に焦点を当てて、基本的な時間の目安を挙げます。
梅が青から黄色や赤へと完熟するプロセスでは、水漬けの適切な時間を判断するのは難しいです。
特に梅を初めて扱う場合、最適な水浸し時間を見極めるのは一層難しくなります。
実際には試行錯誤を通じて経験を積んでいく過程で、成功へのステップとしての学びが得られます。
初期段階では、提示された時間の目安を参考にしつつ、梅の状態を確認しながら進めるのが良いでしょう。
青梅と黄梅のアク抜き方法の違い
青梅に関しては、収穫時期や鮮度によってアク抜きの方法が異なります。
早期に収穫された、まだ固く青い青梅の場合、24時間、浸水するのが一般的です。
しかし、収穫後時間が経過し色が少し薄くなった青梅は、一晩水に浸すと過剰になる可能性があります。
初心者の場合、青梅のアク抜きの目安として、2~4時間の浸水を推奨します。
この時間を基に、必要に応じて水漬け時間を調整してください。
店で見かける青梅は、早期収穫されたものより熟度が進んでいることが多いので、2~4時間の水漬けで十分です。
水漬け中は定期的に梅の状態をチェックし、柔らかくなりすぎないよう注意しましょう。
もし梅が想定より柔らかくなってしまった場合、その梅はジャム作りに最適です。
これにより、梅の状態に応じて適切な利用方法を見極め、あらゆる状態の梅を価値あるものへと変えることができます
一方、黄梅(成熟梅)は、アク抜きは必要ありません。
ただし、硬さや色によっては短時間の水漬けが有効な場合もあります。
- やや黄色味を帯び、まだ固さが残る梅・・・30~40分程度の水漬けが可能
- 柔らかく黄色くなった梅・・・水漬けは避ける
梅の色が黄色になり、特有の香気が感じられる時、熟しているとみなすことができます。
この状態の梅はアク抜き不要で、変色のリスクを避けるために水漬けせずに直接使用することをお勧めします。
アク抜き後の梅の処理手順
アク抜きが完了した梅は、直ちに水から上げ、ザルに移して乾かします。
梅の外側が完全に乾燥したら、漬ける準備ができます。
しかし、乾燥期間が長すぎると、梅が過度に柔らかくなるか、水分が多く失われる可能性があるので、慎重に扱うことが重要です(特定の理由で長期間乾燥させる場合は除く)。
梅の外側をすぐに乾燥させる必要がある場合は、清潔な布またはキッチンペーパーで水分を丁寧に拭き取ることをお勧めします。
これにより、梅を最適な状態で漬け込むことができます。
梅が茶色くなった場合の対処法
水に長く漬けておくと、梅が茶色くなる場合があります。
色の変化は自然なプロセスの一部であり、必ずしも食品安全性に関わるものではありません。
ただし、見た目や風味の変化に敏感な方は、次の方法で対処できます
◎色の変わりが軽度で梅が少し柔らかくなった場合、
梅干し作りには問題ありません。
水気を切り、塩をまぶして漬け込むことをお勧めします。
梅干し以外の用途ではジャム作りが良いでしょう。
◎一部が著しく色が変わった場合
梅干しを作る場合なら、水気をしっかり取れば大丈夫です。
色が気になる場合は、その部分を取り除いて、残りを使用します。
たっぷりの塩をまぶして漬けることをお勧めします。
残った部分がまだ硬い場合は、塩漬け後に干すことが可能ですが、柔らかすぎる場合は、干すことなく梅漬けとして食べることができます。
◎全体の色が茶色になり、柔らかくなりすぎた場合
これらの梅はジャムにするのが一番です。
ジャムを作ることで、思い通りにならなかった梅も有効に活用できます。
梅のアク抜きを忘れた場合の対策
アク抜きを忘れた場合、梅をそのままさらに漬け込むことで、エグミを減らすことができる可能性があります。
しばらく時間を置いてから再度味見をしてみると良いでしょう。
時間をかけて熟成させることで、梅の味や風味が変化し、エグミが和らぎ、よりまろやかな味わいになります。
また、熱を加えても問題ない加工品であれば、加熱して表面に出るアクを取り除くことで、エグミを取り除くことが可能です。
アク抜きを行わなかった場合でも、このような方法で対応できるので、落ち着いて漬けあがりを待つことが望ましいです。
まとめ
梅の下処理において、アク抜きを上手に行うための有効なポイントをご紹介しました。
アク抜きを上手に行うための主要なポイントは、水に浸す時間を不必要に延ばさないことにありました。
レシピに梅の水に浸す時間が書いてあったとしても、その指示を厳格に守ることは必ずしも必要ではありません。
梅が水に浸かっている間、定期的にその様子をチェックし、必ず、直接手で触って梅の状態を確認しましょう。
梅が柔らかくなりそうな場合や他の変化があれば、すぐに水から取り出すのが適切です。
梅の状態を注意深く観察しながら、適切なアク抜きを行いましょう。